大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)813号 判決

昭和二十四年四月二十七日附起訴状は第四の事実として「被告人半田は斎藤と共謀の上何等法定の除外事由なく玄米合計五十八俵を政府所定機関以外の者に売渡した」との食糧管理法第九条違反罪を記載したところ、昭和二十五年四月十七日第十回公判期日において、検察官は、同年二月二十四日附訴因罰条の追加変更請求書に基き「被告人半田、斎藤は石塚と共謀して法定の除外事由なく営利の目的を以て荒川新吉等に対し米合計五十八俵を不当高価にて売却した」と訴因を変更し、罰条も物価統制令第九条の二、第三十四条と変更したが、更に同年五月二十九日第十二回公判期日において検察官は、同年五月十五日附訴因罰条の追加請求書に基き「不当高価販売でなければ玄米五十八俵を統制額を超過して販売した」と訴因を予備的に追加し、罰条も物価統制令第三条第四条第三十三条としたこと、原審は同年七月二十四日被告人半田及び斎藤に対し、前記起訴状第四に表示する公訴は、多数の訴因を包括しているのに之を一括して記載したのは訴因の特定を欠くものとして刑事訴訟法第三百三十八条第四号を適用して、公訴を棄却する旨の判決をしたことは本件記録に徴し明らかである。しからば起訴状記載の第四の訴因により表示された被告人半田、斎藤に対する食糧管理法違反に関する公訴が棄却せられた以上該訴因を基本として前記の如く数次に亘り変更又は追加された訴因はいずれも全部消滅したものといわなければならない。しかるに本件記録によれば、原審検察官は、前記公訴棄却の判決の言渡があつた三日後たる同年七月二十七日に至り、被告人半田、斎藤に対し新たに、石塚と共謀の上玄米五十八俵を統制額を超過して販売した。仮りに然らずとするも不当高価販売をしたとの訴因により別件として公訴を提起し、原審はその訴因に基き審理をなし判示第四の如く不当高価販売の行為を認定処断したものであることは明らかである。即ち前記公訴棄却の判決が確定する前に更に同一事実につき別個の公訴を提起するのは同一人に対し同一事実につき二個の起訴があつたことゝなり、いわゆる二重起訴として、刑事訴訟法第三百三十八条第三号に違反するものといわねばならない。

しかしながら前記公訴棄却の判決に対しては、訴訟関係人は何等控訴の申立その他不服の申立をすることなく該判決は言渡後不服申立期間の経過により確定したことは記録上明らかであるからこゝに前記起訴状記載の訴因第四の公訴事実(その追加変更の分を含む)は、当初から裁判所に係属しなかつたことゝなり、右二重起訴の瑕疵は治癒せられ、その後においては、被告人半田に対する起訴は前記昭和二十五年七月二十七日附起訴状による公訴のみが適法に係属していたものと認むべきであるから、原審がその起訴に基いて審理判決をしたのは相当である。論旨は理由がない。

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